9月のセッション 1
成人した子供のことでご相談にいらっしゃる方もいらっしゃいます。
具体的には、成人した子供が家にいて仕事をしなかったり、引きこもっていたりして、どうしていいかわからないという悩みです。
先日いらっしゃった方も、20代の娘が家にいて、しかも家族とコミュニケーションを取ろうとしないため、家の中が険悪になって悩んでいるというご相談でした。
このような場合、僕は基本的に、子供を家から出すようにアドバイスしています。
理由はシンプルで、社会的に自立できていない子供が親と同居しても、共依存になるからです。
共依存とは、親が子供に依存し、子供は親に依存するという関係です。
子供は親に依存することで、本来なら自分の力で得るべき社会的立場、生活手段、収入などを親から得ます。
一方、親の場合は、自分と向き合う、自分らしく生きるというテーマから逃げるために、子供の面倒を見るという形で、子供に依存します。
このような共依存が好ましくないのは、たったひとつの理由、お互いにしあわせではないからです。
人は、自立している、自分らしく生きているという実感がある時、本当のしあわせを味わいます。
依存している限り、この自立のしあわせは味わえません。
では、親が子供から自立するためには、何が必要でしょうか。
それは、信頼です。
逆に言えば、子供から自立できない親は、子供を信頼できていません。
信頼とは、相手の生きる力を信じると言い換えることもできます。
社会に出て、失敗や成功を繰り返しながら、少しずつ成長し、立派に自分の人生を生きて行ける。
そう信じて送り出すことが、信頼という態度です。
そしてまた、親から信頼を得た子供は、勇気を持って社会に挑戦できるようになります。
自分を産み育ててくれた最も大切な存在が、自分を無条件に信頼してくれている、そのことが大きな励みになります。
自立とは、誰にとっても挑戦であり、怖いことです。
子供であれば、社会に出て自分の力を試す、失敗を乗り越えて前に進むという勇気が必要になります。
親にとっては、自分の人生の最大のテーマだった子育てという仕事を卒業し、自分らしくどう生きるか、という難しいテーマに向き合う勇気が必要になります。
その勇気を支えてくれるのは、相手への信頼であり、自分への信頼です。
たとえどんな困難があり、恐怖を感じても、必ず前に進めるし、しあわせを手にすることができる、という信頼が頼りです。
親と子という関係の中から、信頼という大きな財産を得ることができれば、それはすばらしいことだと思っています。
葵優太
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