5月のセッション 5
「理想の自分を、抹殺しましょう」
30年間、理想の自分に苦しんできた女性とのセッションで、ハイアーセルフが伝えたメッセージです。
僕は普段、こういう衝撃的な言葉はあまり用いません。
ですが今回、この言葉の強さが必要だったようです。
このメッセージと、そのエネルギーに触れて、女性は30年間の理想の自分、
言い換えるなら「未来の亡霊」から解放され、涙を流されました。
「理想の自分」とは、良いものでしょうか?
悪いものでしょうか?
あなたはどちらだと思いますか?
答えは「包丁」と同じだといったら、びっくりするでしょうか。
包丁は、料理を作る道具にもなれば、人を傷つける道具にもなりえます。
つまり、使い方次第。
「理想の自分」という考え方も、同じだと思います。
「理想の自分」を果てしなく追いかけ続ける人生。
永遠に、理想の自分には届かない孤独なレース。
まるで馬の鼻先にぶら下げた人参のように捉えるなら、
理想の自分は果てしなくあなたを苦しめるでしょう。
なぜなら、私たちが幸せを感じられる瞬間は、今だから。
理想を未来に置いた瞬間、今の自分は未熟、未完成な自分に成り下がります。
理想は未来にある。
つまり、今は理想ではない。しあわせではない。
では、頑張って理想の自分に到達したら、しあわせになれるでしょうか?
束の間の達成感が得られるかもしれません。
その後には再び「理想の自分」を追いかけるレースが始まるでしょう。
なぜなら、理想は未来にある、という考え方は変わっていないから。
達成した瞬間、理想は平凡で未熟な自分に成り下がるから。
そういう「理想の自分」は、あなたを苦しめる「未来の亡霊」です。
では、理想の自分はどう使ったらいいのでしょうか?
今、この瞬間のあなたを、理想の自分として捉えてみませんか?
それは、決して不自然なことではありません。
なぜなら、私達は皆、ベストな選択の結果として、今に至るからです。
その時与えられた、選べる選択肢の中で、ベストを選ばない人など存在しません。
みな、その時点でベストと思える選択を積み重ね、今に至るはず。
ベストの選択の結果として今があるなら、それが「理想の自分」ではないでしょうか?
もちろん、今のあなたに不満もあれば、納得行かない部分もあるでしょう。
ほんの少しの間でいい、それをそのまま、そっとしておきませんか?
そこにだけ意識を向けていては、全体を理解することはできません。
全体とは何でしょうか?
今のあなたという存在の全体です。
得たものがあり、失ったものがある。
いまだ得ていないものがあり、いまだ失っていないものがある。
出会ったものがあり、別れたものがある。
いまだ出会っていないものがあり、いまだ別れていないものがある。
得ては失い、出会っては別れる。
失って後に新たに得て、別れた後に新たに出会う。
全てはこのサイクルの中にあります。
あなたの肉体も、精神も、エネルギーも、生命も、人生も。
全てはこのサイクルの中に含まれています。
得る、失う、どちらか片方だけに意識を向けると、健やかな精神のバランスを崩します。
あなたが満足している部分が、新たな不満足を生みます。
そして不満足が、新たな満足を生みます。
それがあなたという存在の全体です。
このサイクルを拒否し、抵抗する度に、あなたは苦痛を感じるでしょう。
このサイクルを理解し、受け入れる度に、あなたは自由になれるでしょう。
いついかなる時でも、あなたはこのサイクルの中にあります。
このサイクルは完全であり、理想的です。
この理想のサイクルに調和している時、あなたは理想の自分を感じるでしょう。
それが、今の自分を理想の自分として受け入れることです。
このサイクルに深く調和してゆくと、次第に穏やかになってゆきます。
得ること、失うこと、出会うこと、別れること、そのひとつ、ひとつに穏やかになります。
言い換えるなら、毎日の日没のように、四季の巡りのように、それを自然に受け入れるようになります。
そして、その奥にある不変の本質に気づくかもしれません。
そのことについては、また次の機会にお話しようと思います。
完全なサイクルを理解し、自分と人生をその調和の中に感じる事ができれば、
今がすでに理想であることが、自然と明らかになってくるでしょう。
たとえ一瞬でもこの真実を感じることができたら、それはあなたを新たな領域へといざなってくれるはずです。
葵優太
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